2023.05.19

急なインレーやクラウンの脱離はどうしたらいいの?

院長の大槻です。

インレーやクラウンが脱離や破折する原因

では、具体的にインレーやクラウンが脱離や破折する原因についてご紹介していきましょう。

原因1 虫歯の進行

インレーやクラウンは、永久的な治療方法ではありません。

インレーやクラウンとご自身の歯の境目をマージンと呼びます。マージンから虫歯になることを「2次カリエス」と呼びます。

2次カリエスにより、インレーやクラウンの適合が悪くなることで、脱離や破折が起きやすくなります。特にクラウンでは、歯周病の悪化により、歯肉が下がり、根面う蝕のリスクが高くなります。その結果、マージン部分へう蝕が進行し脱離が想定されます。

原因2 インレーやクラウンの経年劣化が原因

保険適応の素材である金銀パラジウム合金によって製作されたインレーやクラウンは、長年お口の中で唾液にさらされることにより、金属イオンが流出し、材質が劣化します。白いレジンインレーの場合は、レジンそのものの吸水性や、耐摩耗性の低下からマージン部分が不適合になるという経年劣化が確認されています。

原因3 接着剤の劣化が原因

インレーやクラウンは、セットする際に、セメントによる接着を行います。しかし、長年使用しているとマージンから唾液が徐々に流出し、接着剤が劣化していくことが分かっています。

原因4 噛み合わせの問題

噛み合わせの問題による原因は、補綴物をセットした直後に起こりやすい問題です。

歯科医院で装着する際、噛み合わせの検査で確認ができるのですが、最終的な確認は患者様ご自身の感覚が大切になります。「少し高いけど慣れるかな?」という気持ちは理解できすが、お口は50μm(マイクロメートル)程度の厚さでも違和感を生じる世界です。適切ではない噛み合わせで力を加えると、セットしたクラウンやインレーに過重負担がかかり、脱離や破折の原因となるのです。

  • 50μmは0.05㎜

インレーやクラウンに不具合が起きたときにまず行うこと

ご自宅や外出先で補綴物が脱離や破折してしまった場合に行ってほしいことを順番にご説明いたします。

インレーやクラウンを口の中に戻さない。

お口の中には絶対に戻さないでください。眠っている際に外れて危険なことがあるからです。

歯科用の接着剤は、身体に安全性の高い素材であることや、口腔内の環境に合わせた性能になっています。ご家庭用の接着剤で付け直した場合には、歯科医院で取り外す際に時間がかかることや、正しい位置に入っていない状態でも取り外しができなくなり、削って取り除く場合もあります。

取れたものは保管して持参する

取れたものをまずはお口から取り出し、一度水洗しておきましょう。その後、歯科医院の来院まで保管しておきましょう。

早めに来院して歯科医に相談

補綴物が取れてしまっても、失活歯という神経を取り除いた歯の場合には、痛みも違和感もないかもしれません。しかし、インレーやクラウンが外れた歯は、象牙質が露出しているため、虫歯の進行が速いため注意が必要です。

まずは、かかりつけ医のご予約をとることをお勧めします。転居などでかかりつけ医へ受診ができなくなった場合には、近医を探して「詰め物やかぶせ物が取れた」と伝えましょう。

お口の中を清潔に保つ

先ほど、インレーやクラウンが外れた部分は象牙質が露出していることを記載しました。また、部分的にセメントが歯に残っていることも想定されます。この部分は、プラークが蓄積しやすいので、脱離や破折してしまった部分も清潔にしておきましょう。

刺激物の飲食を避ける

特に、神経がある生活歯の場合には、インレーやクラウンが取れてしまった部分からしみたり、痛みを感じることがあります。冷たいものや熱いもの、糖度の高いもの、辛い物など刺激となるものを極力避けて安静に保つことが大切です。

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