院長の大槻です、昨日の雨凄かったですね、、
むし歯予防の歯科処置といえば「フッ素塗布」ですよね。おそらく、皆さんも一度はフッ素塗布を受けたことがあるかと思います。けれども、単にフッ素ジェルを塗り付けるだけで、どれほどの効果があるのかは、実感しにくいことでしょう。ここではそんなフッ素塗布の効果についてわかりやすく解説します。
フッ素とは
そもそもフッ素とは、どのような物質なのか気になる方も多いことかと思います。とくに身体への影響については事前に知っておきたいものです。
① 食品などにも含まれている物質
フッ素というのは、私たちは普段口にしている食品にも含まれている物質です。具体的には、お茶やみそ汁、清涼飲料水などにフッ素が含まれています。ですから、歯科治療でのみ使用する特別な物質ではないといえます。
② フッ素の安全性について
フッ素は、大量に摂取することで中毒症状が現れることがあります。フッ素による急性中毒と呼ばれるものです。ただ、歯医者で行うフッ素塗布というのは、あくまで歯面にフッ素入りのジェルを塗るだけなので、中毒症状が現れることはまずありません。身体の中に取り込む「摂取」と「塗布」の違いについては、しっかりと把握しておきましょう。
フッ素の働き・効果
フッ素の働きや効果は、主に次の2つが挙げられます。
① 歯の再石灰化の促進
歯が酸によって溶かされる現象を「脱灰(だっかい)」といいます。それを修復する作用を「再石灰化(さいせっかいか)」といいます。フッ素にはこの再石灰化を促進する働きが期待できます。
② 歯を強くする
私たちの歯は「ハイドロキシアパタイト」と呼ばれる物質で構成されています。この物質はとても硬いのですが、酸によって溶けやすい性質も併せ持っています。フッ素のよって歯の再石灰化が促進される際には、「フルオロアパタイト」と呼ばれるフッ素が入り込んだ物質へと作り変えられ、むし歯菌に負けない強い歯を作ることが可能となります。
自宅でできるフッ素塗布
自宅ではいわゆる「フッ素塗布」を行うことはできません。歯科医院で使用しているフッ化物ジェルというのは、とても濃度の高いフッ素が配合されているので、取り扱いを誤ると健康被害が生じる恐れがあります。ですから、自宅でできるフッ化物の応用法としては、「フッ素のうがい」と「フッ素入りの歯磨き粉」の2つに限られます。
年齢別のフッ素活用法
フッ素の活用法は、年齢によって変えていく必要があります。
【0~4歳】
うがいができるようになるまでは、「フッ素のうがい」や「フッ素入り歯磨き粉」は控えましょう。歯科医院でのフッ素塗布だけで十分です。
【4~15歳】
乳歯列から永久歯列へと変わる大切な時期です。フッ素によるうがいやフッ素入り歯磨き粉の活用はもちろんのこと、3ヶ月に1回程度、フッ素塗布を受けるようにしましょう。異常が認められたらすぐに歯科を受診することも大切です。
【15~50歳】
勉強や仕事など、さまざまな要因によってむし歯や歯周病のリスクが高まる年代です。この時期にフッ素によるうがいやフッ素入り歯磨き粉、フッ素塗布をしっかり活用することで、生涯残せる歯の本数も大きく変わってきます。
【50~70歳】
この年代の方は、お口の健康への意識も高まり、フッ素を活用することの重要性もしっかり認識している傾向が強いです。そのため、これまで行ってきたフッ化物の応用法をそのまま継続することで、むし歯の発生を抑えることが可能となります。
【70歳~】
身体の機能が衰えることによって、お口の中が不潔になりやすい傾向にあります。それだけに、フッ素のうがいの必要性が高まる時期ともいえます。フッ素入り歯磨き粉とフッ素塗布も併せて活用していきます。
フッ素塗布の注意点
フッ素塗布は、基本的に安全な歯科処置ですが、以下に挙げるような点に注意する必要があります。
・お口の中に異常がある場合は行えない
・塗布後30分は飲食をしない
・しっかり歯磨きしてから来院する
・塗布後もオーラルケアを徹底する
・定期的にフッ素塗布を受けると効果的
【まとめ】
このように、歯科医院で受けるフッ素塗布は、フッ素の活用法の中でも非常に効果の高い予防処置といえます。ですから、すべての年代においておすすめできる予防法となっております。