こんにちは、院長の大槻です。
お口の中になにかできものが見つかったら、
すぐ病院で相談すべきか、様子を見ていいのか判断が難しいですよね。歯茎は特に腫瘍などが稀にありますから、怖いです。
代表的な症状をすこし解説します!
①歯ぐきが赤く腫れている、触ると血が出てくる
→歯肉炎の可能性があります!
歯肉炎とは、歯茎に汚れが蓄積したことが原因で起こる歯肉の炎症のことです。
腫れた歯ぐきの周りの歯の表面に白い汚れ(プラーク/生きた細菌の塊)が付いていませんか?
改善方法は丁寧な歯ブラシを継続することです。
歯ぐき付近を優しくマッサージするように歯ブラシを当てると効率よくプラークを落とすことができます。
歯ブラシだけでは歯の汚れは落としきれないので、歯間ブラシ、フロスなどの道具も併用することをお勧めします。
正しい歯ブラシの動かし方・歯ブラシの選び方などはお一人お一人違います。
歯科医師・歯科衛生士の指導の下、あなたに合った方法で歯磨きをしましょう。歯並びなどによってもかわってきます。
注)プラークが付いていないのに、歯肉炎の症状が出ている方は、
攻撃性の高い口腔内細菌が常在している可能性があります!
また、思春期や整理中、妊娠中などホルモンバランスで歯肉炎症状が出やすい場合もあります。(妊娠性歯肉炎ともいいます)
その場合は徐々に改善することもありますが、一度受診していただくことをおすすめいたします。
②歯ぐきの上のほうに膿のような白い腫れが出てきた。
つぶれて消えてもまたしばらくすると出てくる。
→根尖病巣ができている可能性があります!
根尖病巣とは、歯の根の先で雑菌が繁殖し歯の根やその周りの顎の骨を溶かす病態のことです。
歯の根の先(根尖)に雑菌が侵入する経路は大きく分けて2つあり、
歯からの侵入、そして歯ぐき(歯周ポケット)からの侵入です。
前者は大きなむし歯が神経まで達し、神経をとる治療をされた方に多く、
後者は歯周病が進行した方に多くみられます。
雑菌が繁殖すると、根尖付近で膿の袋を形成しますが、この時はそこまでひどい痛みにはなりません。
しかし、それが大きくなると激しい痛み(ドクドク波打つような拍動痛)が生じ、
膿は出口を歯ぐきに求めます。
それが目に見えるかたちになったものがフィステルとよばれる白い腫れの正体です。
フィステルの出現は自己免疫とも関係性があり、体力低下とともに現れることもあります。
根尖病巣を放置していると、歯の根が溶けてなくなってしまうので、
進行すると抜歯が避けられないこともあります。
自然には治りませんので、歯の根の治療(根管治療)を受けましょう。
③歯ぐきや頬の粘膜にえぐれたように赤く、触るとヒリヒリ痛い
→口内炎の可能性があります!
口内炎は通常、2週間くらいで自然治癒しますが、
もし繰り返し出現したり、数が増えるようであれば全身疾患による症状の一つかもしれません。
なかなか治らないようであれば、歯科医師にご相談ください!
フィステル
フィステルはサイナストラクトや瘻孔(ろうこう)と呼ばれることもある、膿が溜まって膨らんだもの。歯の根の位置にでき、小さな穴が開いた白いニキビのような外見です。虫歯や外傷などによって歯の神経が死んでしまったり、歯根の治療が不十分であったりした場合にできます。
細菌感染によって発生した膿が歯の根の先に溜まり、出口をもとめて膨れ上がるのですね。
溜まった膿が完全に出ると膨らみはなくなり、再度膿が溜まればまた膨らみます。膿は臭く、フィステルができている間は口臭もきついものになるでしょう。
多くの場合痛みはありませんが、炎症が強いケースでは触ると痛みを感じることがあります。自然治癒はしません。
原因と放置するとどうなるか
フィステルができる原因は主に次の4つです。
いずれも、結果的に口内細菌が歯の神経まで達することが問題です。歯髄が細菌に感染することにより、フィステルが形成されます。
細菌によって膿が出て、それが徐々に溜まって歯根や歯を支えている骨を圧迫、吸収します。すると体は膿を外に出そうと反応をし、フィステルを作るのですね。
放置すれば周辺の歯にも影響し、他の歯の根を溶かしたり神経を死なせたりします。さらに行き場がない膿は血管に入り、血液によって全身を移動。心臓病やアレルギーなどの原因にもなってしまいます。
フィステルができていたら、歯科で根管治療や抜歯が必要です。根管治療は歯の根に入った細菌を取り除く治療で、汚れをできるだけ取ったあとに薬を詰める処置をします。
原因が歯の根が割れたことによる場合、歯を残すことはできません。抜歯をして殺菌、消毒をし、差し歯やインプラントなどの治療へ進みます。かなりやっかいですよね
口内炎
口内炎は、口内にできた炎症の総称です。特に歯ぐきにできる口内炎のことを、歯肉炎と呼びます。
白くて丸く、真ん中が切れた傷のように見えます。口内炎の種類は次の3つ。アフタ性口内炎、カタル性口内炎、ウイルス性口内炎です。
- ・アフタ性口内炎・・・日常的な疲れやストレスによる免疫力の低下で発症する
- ・カタル性口内炎・・・入れ歯や外的衝撃などによる物理的な刺激による傷で発症する
- ・ウイルス性口内炎・・・口内ウイルスが原因で発症する
このうち、多くの場合はアフタ性口内炎です。生活習慣の見直しやストレスの発散、休息によって自然治癒します。
痛みは強く、食事のときに調味料や熱いものがしみて、しばらくつらい思いをするでしょう。塗り薬や飲み薬が販売されているので、それを使えば治りを早くできます。口内炎はさまざまな原因があったりします。
腫瘍
めったにありませんが、歯ぐきのできものが腫瘍であることも。腫瘍とは、過剰に増殖した組織の塊を指します。良性と悪性があり、悪性が「がん」と呼ばれるものですね。
歯ぐきにできる腫瘍は、良性なら乳頭腫が多く、悪性なら歯肉がん(扁平上皮癌)が考えられます。いずれにせよ、すぐに病院を受診しなくてはなりません。
見た目は口内炎のようでもありますが、口内炎と違ってできものと歯ぐきの境目が不明瞭でぼやけています。また、表面がただれているようにも見えるでしょう。これは大学病院や市民病院での治療という形になることが多いです。
痛みはないか、触ると痛いといった程度。自然治癒はしません。
和光市の歯医者和光市TaCファミリー歯科へいつでも相談ください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。