2023.07.13

歯肉炎の予防

衛生士の福井です

歯ではなく、歯の周りの歯周組織に起こる炎症のことを、まとめて「歯周病」と言います。

歯周組織は、歯肉(歯ぐき)、歯根膜(歯の根っこを取り囲む薄い膜)、歯槽骨(顎の骨)、セメント質からなります。
「歯肉炎」とは歯周病の初期の段階のことで、歯周組織の上部である歯肉(歯ぐき)に炎症がとどまっている状態です。

歯肉炎が進行し、炎症が歯槽骨など歯を支える組織にまで進行すると、「歯周炎」となり歯槽骨が溶け始め、最悪の場合、歯を支えることができなくなり歯がグラグラしてきて、抜歯になることがあります。

歯肉炎の原因

歯肉炎の原因はプラーク(歯垢、細菌の塊)です。
歯と歯の間や、歯と歯ぐきのきわなど、きちんとした歯磨きができていないと、歯茎に炎症が起こる原因になります。

特に歯並びが悪く歯が重なっていたり、大きな被せ物が入っている場合は要注意です。

生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には歯周病菌はいません。
虫歯菌と同様、スプーンや箸、お皿の共有などで、保護者から感染しますので、気をつけるようにしましょう。

また、年齢を重ねてからも、口移しやキスなどでうつると言われております。

歯肉炎の症状

歯肉炎は、歯周組織の上部の歯肉だけに炎症がとどまるため、症状としては

  • 歯茎が赤く腫れる
  • 歯ブラシなどで血が出る

などといったものが挙げられます。

軽度の場合は、痛みもないため、放置されることが多いと思います。
症状が強くなり、出血量が多くなったり、痛みが出てから、初めて歯科医院を受診される方が多いです。

症状がないまま放置していると、炎症が深くまで進んでいき、歯を支えている顎の骨(歯槽骨)を溶かし始めると、「歯周炎」に変わります。

歯肉炎の診査・診断

まずは歯科医院で、歯ぐきの炎症度合いや、プラーク(歯垢)の付き具合を確認します。

そして、レントゲン写真を撮影したり、歯周ポケットの深さを検査することで、炎症の進行度合いを調べます。

歯肉炎の治し方・治療法

きちんと口腔ケアをする

歯肉炎が起こる原因は、歯垢(プラーク)の磨き残しになるため、まずはどこに磨き残しがあるかを一緒に確認します。

そして、うまく磨けていない部分をきちんと磨けるように、歯科医師や歯科衛生士から、歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシの方法を指導させていただきます。

そして、ご自身できちんと口腔ケアをしていただき、磨き残しがないようにして、炎症を引かせます。

クリーニングをする

歯垢が残ったままになり、徐々に固くなり歯石になった場合は、歯ブラシでは取ることができません。
専用の器具を用いて、歯ぐきの際に付着している歯石を取るクリーニング(スケーリングと言います)を行います。

歯の表面にも歯垢(プラーク)が付いている場合は、歯の表面のクリーニング(PMTCと言います)を行います。

歯肉炎の予防方法

きちんと口腔ケアをする

治療法と同様ですが、毎日のご自身での歯磨きをきちんとする事で、歯肉炎は防ぐ事ができます。
時間や手間を惜しまず、歯間ブラシやデンタルフロスを併用するようにしましょう。

定期検診を受ける

ご自身ではきちんと磨けているつもりでも、歯と歯の間などにはどうしても磨き残しが残りやすいです。
歯肉炎は症状が出ない事が多く、気がつかないうちに歯周炎になり、顎の骨が溶かされ始めているかもしれません。

歯科医院で、定期的に歯ぐきの状態をチェックしてもらい、問題が起きていないか確認してもらうようにしましょう。
また、その際には歯や歯ぐきのクリーニングも行うため、今後の歯肉炎、歯周炎予防にもつながります。

 

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