院長の大槻です
今回は抜髄と感染根管治療はどちらが難しい?というテーマについてお話していきたいと思います。
根管治療とは、重度の虫歯により神経を取らないといけなかった場合におこなわれる抜髄(ばつずい)、すでに根管治療は行われていたが、根尖に病変(レントゲン写真で黒く写る細菌のかたまり)ができている場合に再度、根管治療をおこなう、感染根管治療(かんせんこんかんちりょう)とがあります。
どちらもおこなっている処置は同じですが、根管治療が初めてかどうか、神経が死んでいるかどうか、根管が感染しているかどうかで、抜髄か感染根管治療かが分かれます。
根管治療の流れは下の図のようになります。
この図は抜髄のステップを表しており、虫歯を除去後(ステップ1)、神経を除去し(ステップ2)、根管内の消毒、薬の貼薬(ステップ3)をおこない、最終の根管充填と呼ばれる、根管内に材料を詰める作業(ステップ4・5)をおこない、最終の被せ物(ステップ6)まで行っています。
なので感染根管治療の場合はこのステップとは多少異なってきます。
では、抜髄と感染根管治療ではどちらの難易度が高いでしょうか??
答えとしては、一般的には抜髄に比べ、感染根管治療の方が難易度が高いと言われています。
抜髄は、根管に細菌の感染が及んでいないのに対し、感染根管治療では、根管にすでに細菌による感染が
及んでいる為、その感染を取り除くのが非常に難しいと考えられます。
また前医の治療の癖のようなものもあり、その部分の修正も難しい場合があります。
ただし、経験の浅い歯科医師からすると、抜髄の場合はどこに神経の管があるか判断するのが難しい場合もあり、一概にどちらが難しいかと言うと、歯科医師の経験によるところもあるかと思います。
例えば、感染が神経の管の、さらに細かい側枝(そくし)と呼ばれる枝分かれの部分まで進んでいると、一般的には外科的歯内療法(げかてきしないりょうほう)の適応となり、外科的な侵襲などが必要になる場合もあります。
しかし、外科的歯内療法をおこなうことで根本的な感染を取り除くことがができる場合が多く、当院でも行う場合が多い処置ではあります。
ちなみに歯の神経をぬいてもいたいってことがある理由は
歯の神経を抜いてしまえば、当然ですが歯自体の痛みは絶対になくなります。
ところが、
- 神経を抜いた歯が
- ● 押すと痛い
- ● 噛むと痛い
- ● うずく
なんてことはよくあります。
それなのに痛むのは理由があります。
その理由をご説明しますね。
まず正式な名前は歯髄(しずい)と言います。
そして、歯髄の中には本当に神経も通ってるし、血管も通ってます。
という感じです。
ですので、神経(歯髄)を抜いた歯というのは、歯の中から、神経だけでなく血管もなくなってるんです。 血管の中には白血球などの免疫細胞があり、ばい菌をやっつけています。
ですので、神経(歯髄)を抜いてしまうと、歯の中から免疫細胞がいなくなり、歯の中にばい菌が入って来てもやっつけることができずに、感染して炎症を起こしてしまうんです。
そうやって歯の内部に起こった炎症は根っこの先っぽから骨の中に進んで行きます。
炎症は、根っこの先っぽから歯根膜へと進んで行き、さらに歯槽骨まで拡がってしまいます。
特に、根っこの先っぽに膿がたまる(根尖病巣)ことが多いです。この膿みによって、痛みが出てしまうんです!
虫歯が大きくなりすぎて、神経のあるところまで進んでくると、歯の神経(歯髄)が細菌に感染し、炎症を引き起こし、痛みを発します。痛みをとったり、その後の重症化を防ぐ為には根の治療が必要になります。
また、もう神経のない歯が痛くなることもあります。その場合は根の先に再び細菌が増殖して病変を作ってしまった場合や神経がなく、もろくなってしまったため、根が折れてしまったという場合が多いです。
根の病変の再発は以前の治療の感染した歯質や神経の取り残しや、被せ物や土台の隙間からの再感染、歯周病由来のものと様々です。状況によりもう一度根の治療をやり直せば治せる可能性も高いので、何が原因かしっかりと診断する必要があります。
根が折れているとなると、折れた部位や折れ方によって保存可能かどうかが変わりますので精査が必要です。
また神経がちょっと痛んだからといって神経が絶対にダメになっているわけではありません。神経を残せるような治療もありますので、できるだけ早めに通院して下さい。
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根の治療法
根の治療(根管治療)とは細菌によって汚染された根の中を針金のような道具(ファイル)で削り、消毒し、薬で密閉して細菌の住みかをなくす方法です。
しかし、根の形は千差万別、奥歯にいたっては1本の歯で神経の根が1~4つ以上の場合があります。またその1つ1つも千差万別です・・・。
いかに根の中を無菌的にして半永久的な薬をしっかり詰めれるかがポイントです。
なかなか肉眼や従来のレントゲンだけでは審査が難しいです。
必要に応じてCT撮影も行い、3次元的に根の形を診断し、より機密に治療した方が予後が良いです。
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根の治療が終わったら・・・
神経の治療がうまくいけば、歯の根っこ(歯根)が土台として使えます。そうすれば周りの歯を削らずに、その歯だけで人工の歯を立てていくことが可能です。 |
治療を途中で中断すると・・・
根の治療をするとズキズキして寝れないような痛みがとれたり、腫れた痛みがすーっと引き楽になります。しかし、根の治療はしっかり永久的な薬を埋めるまでは終わりではありません。治療に行くのが面倒だし、痛みもとれたしいいや、、、と思ってしまう方もいるようですが、これが一番よくないことです!!
歯は表面のエナメル質は強いのですが、中の象牙質やセメント質はそんなに強くありません。そのため、ちょっと期間があいてしまうと、急激に虫歯が進行していたり、最悪抜歯になることもあります。
虫歯も似たような状況があります。虫歯で痛いなと思いながらしばらく痛みを我慢していると、痛みがなくなってきます。虫歯が治ったのかと錯覚するかもしれませんが、決して治ってはいません。神経が死んだため痛みを感じなくなっただけです。それからまたしばらく放置すると、今度は根の先に病変を作るようになり、腫れたり、骨を溶かしたりで、また痛みを感じるようになってきます。
どの治療も途中で終わるのはよくありませんが、特に根の治療の中断は絶対におやめ下さい!
とにかく痛くなったらすぐに歯医者に!
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