2023.06.23
高齢者が虫歯に陥る理由とは?
衛生士の福井です。
高齢者の方が虫歯になりやすいといわれるのには理由があります。
歯周病によって歯の根元の象牙質が露出してしまう
高齢者によくみられる虫歯として、歯と歯茎の境目部分の歯の根に出来る根面う蝕(こんめんうしょく)があります。
根面う蝕は、本来歯茎に覆われている歯の根元の部分が、歯周病による歯茎の退縮や加齢などによって露出してしまい、その部分が虫歯になるというものです。歯茎から上の部分の歯は硬いエナメル質で覆われていますが、歯茎の下の部分は軟らかく、虫歯になりやすく、一度虫歯になったら進行しやすいという特徴があります。
根面う蝕は今まで虫歯になったことのない歯に起こることもありますし、被せ物をした歯の根元に起こることもあります。
歯茎が退縮していって歯が長くなったように見える方は、根面う蝕や知覚過敏のリスクが高まりますので、必ず歯科医院の定期健診を受けて虫歯のチェックをするようにしましょう。
唾液の分泌量の減少
高齢者は唾液が減少してドライマウスになっている方が多いです。その理由としては、加齢によってお口周りの筋肉が衰えてきて、あまり動かさなくなったこと、ストレスや持病の薬の影響で唾液の分泌が減ったことなどが考えられます。
唾液が少なくなると、お口の中の食べカスを洗い流したり、脱灰した状態の初期虫歯を再石灰化する作用が追い付かなかったりと、良いことがありません。
軽く唾液腺のマッサージをすることで、唾液の分泌を促すことが出来ますので、時々耳の下あたりや顎の下をそっとマッサージしてみましょう。
詰め物・被せ物の下で二次虫歯が起こる
二次虫歯(二次カリエス)は、治療を行った部位に発生する虫歯で、詰め物や被せ物を外して虫歯の部分を削り取り、再度詰め物・被せ物で治療します。二次虫歯では前回の治療よりも治療の範囲が大きくなりますので、前回よりも大きい詰め物や被せ物で治療することになります。
特に保険適用の銀歯の場合、接着剤の経年劣化や材質の特徴として、歯と詰め物・被せ物の間に隙間が出来やすく、そこから虫歯菌が中に侵入して二次虫歯を起こしやすくなります。
また、神経を取って治療した歯が二次虫歯になった場合は、痛みを感じないためにかなり虫歯が進行してからの発見となることが多く、抜歯が必要になるリスクが高くなります。大切な歯を失わないために虫歯予防を徹底しましょう。、
加齢によるエナメル質の減少
加齢によって歯のエナメル質がすり減る傾向があります。エナメル質が薄くなると、酸によって歯が溶けやすくなり、虫歯になりやすい状態になります。食いしばりや歯ぎしりによっても歯はすり減ります。